保佐人として本人の親族に不当利得返還請求訴訟を提起


<保佐人となるまでの経過>
2020年、ある精神科病院のケースワーカーの紹介でAさんと面談。
Aさんは60歳代の男性、数10年も入院していますが、退院の気持ちと後見制度利用の意思がありました。
病院も退院に賛成。当NPOを候補者とする本人申立がなされ、家裁より保佐開始の審判がなされました。

<親族との話し合い不調で提訴>
審判確定後にAさんの通帳を数十年間にわたり管理している親族に電話。
親族は、Aさんの財産は無いと言われます。
しかし、通帳履歴では毎月、Aさんの通帳には障害基礎年金16万2,865円と年金給付金として1万2,576円が入金されています。

 Aさんの入院費用は、医療費は無料なので食費を含めて月額1万5、000円以下。
このほか、健康保険料月額1,400円とオムツ代などがかかります。
しかし、どう考えても、本人のための支出は収入より少ないはずです。それで、当NPOが原告法定代理人保佐人として、不当利得返還請求訴訟を提起しました。

<市長申立が行われない問題>

病院は、親族による入院費の支払いが滞ることを何度も経験し、
Aさんの住所地の区の保健センターに成年後見制度利用の相談を何度もしたそうです。
一度は保健センター職員が病院を訪問したとのこと。
 Aさんは、精神障害者保健福祉手帳1級です。
誰がみても障害者であり入院中のため、本人には金銭管理ができないことは明白です。
 にもかかわらず、名古屋市は市長申立をしませんでした。なぜでしょうか?
成年後見制度利用促進に関して名古屋市からの回答がありますので添付します。
この回答をみますと、いかに名古屋市では市長申立件数が少ないかが分かります。
 
 特に精神障害者に対する市長申立件数は年間ひとけたです。
事務担当部署の保健センターが機能しているのか疑問です。

<その後のAさん>
 退院後の生活のため、当NPOは保佐人として、病院の所在地の区に生活保護申請をしました。数日後、本人は退院してサービス付き高齢者住宅
に転居。その後、生活保護申請は認められました。
精神科病院を退院しサ高住に入居するためには多くの準備が必要です。その準備を本人に代わってするためには代理人が不可欠。後見人等はそのためにも必要です。

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